はじめに
約2ヶ月の一時帰国を終え、ヴィシャーカパトナムに戻ってきました。到着した日はガネーシャ祭りの期間中で、お祭りの雰囲気に包まれ、幸先の良い第二弾のスタートとなりました。



ガネーシャ祭りとは
ガネーシャ祭りは、象の頭を持つ「知恵と繁栄の神」ガネーシャの誕生を祝うヒンドゥー教の大祭です。ヒンドゥー暦のバードラパダ月(8〜9月頃)の新月から4日目に始まり、10日間にわたって続きます。今年は2025年 8月27日(水)が始まりとなっており、私がヴィシャーカパトナムに帰ってきた30日はまさにお祭りムードの真っ只中でした。
家庭や公共の場にガネーシャ像が安置され、花やランゴリ、灯明で美しく飾られ、毎日プージャー(礼拝)が捧げられます。最終日には「ヴィサルジャン(Visarjan)」と呼ばれる水没儀礼が行われます。
南インドのガネーシャ祭り
ガネーシャ祭りといえばムンバイを中心としたマハラーシュトラ州が最も有名ですが、実は南インドでも広く祝われています。
また私の滞在するヴィシャーカパトナムは、南インドの中でも盛大に祝うとのことで、街中にガネーシャの祠が設置され、人々が参拝に訪れていました。またこの地域にはアーユルヴェーダの伝統に基づき21種類の植物で祠や像を装飾する習慣があることです。植物の力で場を清め、豊穣を祈り、信仰深める意味が込められています。また植物の一つひとつにも象徴的な意味や効能があります。


生と死・浄化と再生の象徴
ガネーシャ祭りは単なる祝祭ではなく、深い精神的な意味を持ちます。
1. プラーナ・プラティシュタ(命の吹き込み)
- 初日、像に「プラーナ(生命の息吹)」を招き入れることで、ただの像が神の現れとなります。
2. 苦しみを引き受ける存在
- 祭りの期間中、ガネーシャは人々の願いと共に、罪や苦しみを引き受ける存在となります。
3. ヴィサルジャン(水没の儀礼)
- 最終日、像を水に沈めることで、人々の苦しみは浄化され、神は再び宇宙へと還ります。これは「死」ではなく「再生」を意味し、翌年新たに命が吹き込まれることで「生と死の循環」が表されます。
大学や近所での祝賀に参加
今年はアーンドラ大学でも盛大に行われるガネーシャ祭りに触れることができました。
大学ではプラサーダの食事を頂きました。沢山のボランティアの方が協力して食事を用意してくれていました。地域の人々と同じ食卓を囲むことで、ガネーシャ祭りが共同体の絆を深める場であることを実感しました。沢山の方が「ご飯食べた?」と声をかけて下さり温かさも感じました。






また、近所にもガネーシャの祠が設置されており、そこでダルシャナに連れて行っていただきました。華やかに飾られた祠の前に立つと、ガネーシャ神が本当に人々と共に生き、悩みを受け止めてくれているように感じられました。






おわりに
ガネーシャ祭りは、にぎやかで華やかな祝祭であると同時に、「生と死、浄化と再生」という深い象徴的な意味を秘めています。南インドでも地域ごとの特色とともに受け継がれ、家庭や地域社会の絆を強める大切な行事となっています。ガネーシャ祭りは単なる宗教儀礼にとどまらず、インド社会の息づかいと人々の心のつながりを実感させてくれる、まさに「生きた文化の場」だと感じます。
私自身もこの祭りに参加することで、伝統文化を分かち合う貴重な体験を得ることができました。本当にありがとうございます。