クンブメーラー2025:⑦サードゥの集まるエリア:アーカーラ地区訪問

インドヨーガ協会/IYAインターンの様子

はじめに

本日は、私が滞在した期間中、最も吉祥とされるマーガ・プールニマーの日の沐浴、そしてアーカーラー地区への訪問についてご紹介したいと思います。

クンブメーラー期間中の主要な日

クンブメーラーの祭典は1ヶ月以上続き、今年2025年であれば期間は1月13日(月)〜2月26日(水)でした。その期間中にポイントとなる日がいくつかあります。

2025年1月13日(月) パウシャ・プールニマー(Pausha Purnima, पौष पूर्णिमा)

• マハー・クンブ・メーラーの公式な開始日、重要な沐浴の日

2025年1月14日(火) マカラ・サンクラーンティ(Makara Sankranti, मकर संक्रांति)

• 最初のアムリタ・スナーン(王の沐浴)、祭りの主要なハイライト

2025年1月29日(水) マウニ・アマーヴァスヤー(Mauni Amavasya, मौनी अमावस्या)

• 2回目のアムリタ・スナーン、罪を清めるのに極めて吉祥な日

2025年2月3日(月) ヴァサント・パンチャミー(Vasant Panchami, वसंत पंचमी)

• 3回目のアムリタ・スナーン、春の訪れを告げる吉祥な日

2025年2月12日(水) マーガ・プールニマー(Magha Purnima, माघ पूर्णिमा)

• 重要な沐浴の日、精神的な更新の機会

2025年2月26日(水) マハー・シヴァラートリー(Maha Shivaratri, महा शिवरात्रि)

• マハー・クンブ・メーラーの最終日、重要な沐浴の日

毎日大混雑のクンブメーラーですが、これらの日は特に来場者が多くなります。人集りにより怪我人や死者も出るほどです。特に旅行者は安全面に注意が必要です。

マーガ・プールニマーの沐浴

私たちの滞在中、2月12日(水)はマーガ・プールニマーにあたり、この吉祥な日に夜明け前のブラフマ・ムフールタに沐浴をするため、早朝にガンジス川へ向かいました。夜明け前にもかかわらず多くの人々が集まっていましたが、予想を反してそこには静かで穏やかな雰囲気が広がっていました。

夜明け前の街灯に照らされた道を歩いて沐浴へ向かいます
プージャー用のお花なども売られています
マーガ・プールニマーの沐浴
マーガ・プールニマーの沐浴

夜明け前のガンジス川は、さらに神聖な雰囲気に包まれていました。私も心を込めて沐浴を行いました。今回は、クンブ・メーラーのガンジス川、そして特にマーガ・プールニマーの日という、整った環境での沐浴となりました。

しかし、「ここで沐浴をすれば本当にすべての罪が帳消しになるのか」という問いには、当然ながらさまざまな意見があります。ただ、インドの方々が口を揃えておっしゃるのは、一番大切なのは「心の姿勢」であるということです。自分が何を信じ、何を祈るのか、そしてその行為にどのような意味を見出すのか――それらはすべて、自分自身の心に委ねられているのだと感じました。

アーカーラー地区へ訪問することに

マーガ・プールニマーに向けて前日入りする人が多かったため、スタッフとしての仕事は比較的落ち着いていました。また、翌日にデリーへ戻るスタッフたちは、最後に色々と見て回りたいという思いもあり、「アーカーラーに一緒に行かない?」と声をかけてくれました。アーカーラ地区はサードゥの居住区域でありクンブ・メーラーの中心部です。さらに「日本の友達も誘っていいよ!」と言われ、今回はスタッフ仲間と友人だけの気楽なお出かけとなりました。至れり尽くせりのひとときで、とてもありがたい時間となりました。

シュガーケーンジュース(これらフライトを控える日本組の方は控えておきました)
絞りたてです
緑のひよこ豆
道沿いに多くのお土産屋さんが並びます
天然のルドラクシャー
ジャコウジカの匂い玉

アーカーラ地区へ向かう道沿いには、興味深いお店が数多く並んでいました。

マハークンブとなる会場一帯は普段はガンジス川の下にあるとのこと。クンブメーラーに合わせて水を堰き止めることで大きな中洲ができるとの話がありました。なので、道路、建物、電気や水の供給ルートもその都度設置する必要がある莫大な作業です。

アーカーラー訪問前の人命救助!

出発の際、メインスタッフが2名抜けるのは困るとレセプションでストップがかかりましたが、説得と引き継ぎを経て、どうにか無事に出発することができました。

まずは、男性スタッフが沐浴を希望したため、ヤムナー川へ向かいました。沐浴も終え、いよいよアーカーラーへ向かおうとしたその時――スタッフの一人が、高齢の男性が倒れるのを目撃しました。駆け寄ると、男性はすでに心肺停止の状態。これは一大事と、皆で協力して心肺蘇生を開始しました。

私は以前、日本で看護師として働いており、CPRの訓練は受けていましたが、勤務していた病棟が慢性期病棟だったため、実際に心肺蘇生を行うのはこれが初めてでした。研修で習った「ドラえもんの歌」のリズムを意識しながら心臓マッサージを続けると、男性の意識が戻りました。

まさかクンブ・メーラーで心肺蘇生を行うことになるとは思いもしませんでしたが、無事に命をつなぐことができ、何よりでした。

心肺蘇生の様子の動画がFacebookにアップされていました
特に人が多かったです

いざアーカーラ地区へ

アーカーラー地区は、ガンジス川沿岸にそのエリアを持っています。アーカーラー(Akhara)とは、サードゥ(修行者)たちが修行を行うための組織や団体を指し、伝統的に13の主要なアーカーラーが存在するといわれています。それぞれが独自の修行体系と教義を持ち、異なるスタイルの修行を行っています。

アーカーラ地区へつながるゲート
それぞれの特色を持った建物が並んでいます
砂埃防止に水を撒いてくれているトラック

たとえば、長期間手を挙げ続ける、倒立の姿勢で生活する、沈黙を貫く(マウナ・ヴラタ)、厳しい断食を行うなど、アーカーラーごとに特徴的な修行が存在します。ただ、この時期にはすでに多くのアーカーラーがヒマラヤへ帰還しており、すでに閉じているところもありました。それでも、この地区には独特の雰囲気が漂っていました。

長期間手を挙げ続ける修行をするアーカーラの門番を勤める方
アグラーの伝統菓子

通りでは、裸で修行を行うことで知られるナーガ・サードゥの姿も見かけました。彼らはときに暴力的な側面が強調されることもありますが、インドの方に実際に話を聞いてみると、「ヒンドゥー教のダルマを守るためだ」と熱く語っていました。歴史的背景を学ぶことで、単なる暴力ではなく、その行動の背後には理由があるのだと改めて感じました。

また、シヴァ神と同一視される子供の修行者や、ハヌマーン神と同一視される修行者にも出会い、貴重な機会となりました。

シヴァ神に同一化する子供の修行者
ハヌマーンに同一化する修行者
アーカーラ地区にて
ヤムナー川沿岸にて
アーカーラ地区にて
アーカーラ地区にて
アーカーラ地区にて

またアーカーラー以外にも新興宗教団体などもブースをもっており、バクティなどの実践をされていました。炊き出しや休憩所も提供されています。

ISCON
バクティの団体が、バガヴァッド・ギーターのストーリを語って見えました
無料の食事の提供
休憩所でくつろぐ方々 写真に応じてくれるだけでなくお菓子までくれました
Kriya Yogaのブースでの物販
授乳用のスペースまで設置してありました

ロープや服を結んではぐれないように工夫を

クンブメーラーでは迷子にならない工夫をよく見かけました。日本でいう電車ごっこのようなロープの輪っかの中にグループでまとまって入って移動したり、一本のロープを握って移動したり、サリーの端を結んだりと様々な方法がありました。それでもクンブメーラーでは終始迷子の案内が放送で流れていました。そのための迷子センターも設置されています。

電車ごっこのように移動します
ロープを握って進みます
サリーの端を結んではぐれないように
迷子センター

ガンガ・ジャルをお土産に

インドの方に「クンブメーラーに行く」と話すと決まって頼まれるのがガンガ・ジャル(ガンジス川で汲んだ水)のお土産でした。アーンドラ大学のスタッフからのリクエストもあり、これを持って帰るのは1つのミッションでもありました。クンブメーラーでは、ガンガ・ジャル用の空きのボトルが販売されています。私もミニボトルを購入し、そちらにガンガジャルを詰めて用意しました。インドの方は1.5リットル以上ありそうな特大ボトルをいつくも持って帰る方もみえます。

笑顔が素敵なボトルを売っていた女性
インドの方は大きなボトルをいくつも抱えています

ガンジス川にかかる橋

IYAキャンプを出発したのはお昼12時頃でしたが、クンブメーラーは余りにも広大で時刻は夜になりつつあります。ガンジス川沿岸とヤムナー川沿岸を繋ぐ橋はいくつかあり、その中でも外国人は基本的にVIP橋を通過できるシステムになっていました。このVIP橋はIYAキャンプから最寄りということもあり通過できるとかなりの時間短縮になります。ただ帰りはインドの来賓がありVIP橋が完全閉鎖、粘ってはみましたが結局一般の橋を渡るために迂回することに。そんなやりとりもインド的です。しかしインドの方々に混ざり、少し薄暗くなった橋を渡るのも一興でした。

夕暮れの中橋を渡ります
ガンジス川側からヤムナー川側に到着
美しい月と共に
ガンガジャルを汲んでもらっています

無事キャンプへ到着

IYAキャンプに戻ったのは夜7時を過ぎていましたが、サードゥの世界にほんの少し足を踏み入れることができた、実に充実した1日となりました。

しかし同時に、今日目にしたサードゥの世界は、その広大な世界のほんの一角に過ぎないのだろうとも感じます。ますます、その先にどのような世界が広がっているのか、興味が尽きません。

そこから私はすぐに仕事に戻り、ヨーガクラスの写真撮影やタクシーの予約など、諸々の業務をこなしました。そして最後は、疲れ果ててバタンキューで就寝。こうして、濃密な毎日があっという間に過ぎていきます。

おわりに

次回は、IYAスタッフとして過ごしたマハークンブの諸々について紹介出来ればと思います。

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