チェンマイ旧市街周辺の寺院

タイの街歩き

はじめに

チェンマイはタイで第2の都市ですが、タイ北部の県の一つです。周辺のチェンラーイ県、ラムプーン県、ラムパーン県、ターク県、メーホンソーン県と接し、ミャンマーとの国境を有しています。

このチェンマイ県は、以前は1296年に成立したラーンナータイ王国という独立した王国の首都でした。そして20世紀初頭にチャクリー王朝のラーマ5世によるチャクリー改革にてチャクリー王朝(現在のタイの王朝/バンコク王朝とも呼ばれる)の支配下に入りました。

チェンマイ旧市街には有名な三王記念像(Three King’s Monument)がありますが、その中央の王像がラーンナータイ王国を成立したマンラーイ王です。ちなみに右はスコータイ王国のラムカムヘーン王、左がパヤオ王国の最盛期を築いたと言われるガムムアン王です。この三王が盟友を誓い合ったというエピソードと共に記念像が設置されているそうです。

さてそんなチェンマイですが、その特徴として文化の多様性が挙げられます。人種を見ても一般的なタイ人に加え、多様な山岳民族(リス族、ヤオ族、カレン族、アカ族、モン族など)、そして中国やミャンマーからの移住者など多くの人種や民族が融合しているそうです。確かに言われてみると、すれ違う方の顔も少しずつ違い、またレストランや衣類の種類も多彩でした。

そんなチェンマイの中でも旧市街周辺の寺院、ここでは以下の6か所について簡単に紹介していければと思います。

ワット・プラシン(Wat Phra Sing)

ワット・プラシン(Wat Phra Sing)はチェンマイ最高位の王室寺院で、チャクリー王朝第8代マヒドン国王より、第一級ウォーラマハーウィハーンの寺格が与えられているそうです。

1345年にラーンナー王朝第5代パーユー王(1336~1355年)によって、父の遺骨を埋葬するために建立したとされています。特に目を引く金色の仏塔(プラマハタート・チェーディー)の高さは約50mあり、この日も美しく輝いていました。

大本堂の前には、高層クルーバーシーウィチャイの像があります。この方はタイ北部の寺院復興に生涯を捧げた高僧です。大本堂の中には迫力のあるご本尊が安置されています。

こちらはワットプラシンのラーイカム堂に安置されているシヒン仏(複製)です。

こちらの寺院は元々「ワット・リーチェンプラ」と呼ばれていたそうですが、第7代セーンムアンマー王がチェンライからプラシン仏像を迎え入れてから「ワット・プラシン」として呼ばれるようになったそうです。このプラシン仏像は、プラ・プッタ・シヒン(Phra Phuttha Sihing)とも呼ばれ、タイ北部の人々の間で最も崇拝されているとのこと。ちなみにプラシン仏像の本物はソンクラーン時期だけ神輿に乗せられるとのこと。

基本情報

寺院名:ワット・プラシン(Wat Phra Sing)

タイ国政府観光庁サイト:https://www.thailandtravel.or.jp/wat-phra-singh/

開放時間:07:00~22:00

拝観料:参拝自由

場所:ワット・プラシンGoogle map

ワット・ムーングン・コーン(Wat Muen Ngen Kong)

上記のワット・プラシンから近く、徒歩数分でたどり着くことができます。寺院の名前のムーンは”万”、グンは”お金”、コーンは”積み重ね”を意味するそうで、金運にご利益があると信じられています。

旧市街地の寺院は王室関係者によるものが多いなか、高級官僚のムーン・グン・コーン氏によってグーナー王時代(1339~1373年)に建立されたと推定されています。この高級級官僚のムーン・グン・コーン氏はもともと一般庶民であり、商売に成功して大金を手に入れ、メンラーイ王家の財務を預かる「クン・クラン」という高官に昇進したという逸話も残っています。

涅槃仏は映画「プール」に登場しているので、映画を観た方は楽しめるのではないでしょうか。

基本情報

寺院名:ワット・ムーングン・コーン(Wat Muen Ngen Kong)

タイ国政府観光庁サイト:https://www.thailandtravel.or.jp/wat-mueng-nguen-kong/

開放時間:08:00~17:00

拝観料:参拝自由

場所:ワット・ムーングン・コーンGoogle map

ワット・チェーディー・ルアン(Wat Chedi Luang)

ワット・チェーディー・ルアン(Wat Chedi Luang)は旧市街の真ん中に位置する大きな仏教寺院です。入り口にも美しい装飾が施されています。

チェンマイ最大の仏塔と言われるその大きさは高さ98m、直径54mです。ルアンという言葉自体がタイ北部の方言で“大きい”という意味のため、その名の通りとなります。

メンラーイ王朝第7代セーンムアンマー王(1383~1402年)が父の遺灰を埋葬することを意図して1931年に建設が始まりましたが、 未完成のまま放置され、王の死後は寡婦により建設が続けられ、最終的に完成したのは15世紀中頃(1441年)とのことです。

しかし仏塔は1545年に地震のため上部が崩壊、その後も何度か修復が行われているとのこと。特に1990年初頭には文化庁による修復プロジェクトが進行し、ユネスコや日本政府の資金提供を受けて現在の形に修復されたとのことです。

大本堂は現在修復作業が行われていました。

こちらはチェンマイの守護柱とされる「サオ・インタキン」です。元々「ワット・インタキン・サドゥムアン」に守護柱が建立されていましたが、1558年にビルマの侵略にて廃寺となり放置されていたとのこと。しかし1767年にタークシン王がビルマ軍を撃退、ラーンナー王朝復興後初代カーウィラ王により守護柱が「ワット・インタキン・サドゥムアンウィン」から現在のワット・チェーディー・ルアン内に移されたとのことです。こちらは女性禁制にて中には入れませんでした。

他にもワット・チェーディー・ルアン博物館、樹齢200年を超えるとされるゴムの木、その他のお堂もいくつかあり見どころ満載の寺院です。

基本情報

寺院名:ワット・チェーディー・ルアン(Wat Chedi Luang)

タイ国政府観光庁サイト:https://www.thailandtravel.or.jp/wat-chedi-luang/

開放時間:08:00~22:00

拝観料:参拝自由

場所:ワット・チェーディー・ルアンGoogle map

ワット・インタキン・サドゥムアン(Wat Inthakhin Sadue Muang)

上記のワット・チェーディー・ルアンから徒歩数分の場所にあります。

現在ワット チェディルアン内にあるサオ・インタキンは、以前このワット・インタキン・サドゥムアン祀られていたそうです。そのため寺院名に「インタキン」という言葉が入っているそうです。

上記4つの寺院はお堀に囲まれた旧市街内にあり徒歩でも十分回れる範疇にありました。カフェなどで休憩しながら回られるのも楽しいと思います。

ここからは旧市街から少し離れた場所にある2箇所の寺院について紹介していければと思います。

ワット・シー・スパン(Wat Sri Suphan)

こちらはチェンマイ旧市街の場外南側に位置する寺院で、数ある中でも最も訪れてみたかった場所の一つです。なぜなら別名「銀の寺」と呼ばれる銀一色で覆われた寺院なのです。

ワット・シー・スパン(Wat Sri Suphan)はチェンマイでも最も古い寺院の一つで1500年(16世紀)、マンラーイ王朝ムアン・ゲーオ王の時代に、プラ・プッタパティハーン仏像を奉納するために建てられたとのこと。建築はランナー様式の石組みで、その繊細な彫刻の上にアルミと銀の装飾が施されています。ただ銀の装飾が施されたのは、2008年以降に地元ウアライコミュニティの銀職人によって行われた改装によるものとのこと。

ワット・シー・スパンのあるウアライ地区は銀細工の村として有名で、この地域の銀器の伝統継承の意味も持っているとのこと。またこの立体アートは、仏教や仏法、寺院の歴史などを表現しており多種多様な装飾を見ることができます。

TOKYOの文字みつかりますか?

寺院内は女性禁制です。代わりに女性へは細やかな記念品のプレゼントがあります。

また僧侶との対話プログラムや、メディテーションのワークショップなども行っているようでした。非常に見応えのある寺院です、少し離れてはいますがぜひ一度尋ねてみてはいかがでしょうか。

基本情報

寺院名:ワット・シー・スパン(Wat Sri Suphan)

タイ国政府観光庁サイト:https://www.thailandtravel.or.jp/wat-sri-suphan/

開放時間:6:00-18:00 (時間の変更あり)

拝観料:100バーツ

場所:ワット・シー・スパンGoogle map

ワット・ウモーン(Wat Umong Mahathera Chan)

こちらの寺院は、チェンマイ中心部より西へ車で15分程のステープ地区という場所にあります。自然に囲まれた静かな森の中にあり、チェンマイ中心から近いものの小旅行に来たような気分になります。

14世紀末、ランナー王朝の初代メンラーイ王がチェンマイに都をつくった際に、スリランカから招いた僧侶が修行できるようにと、スリランカ様式に基づいて建てられた寺院とのこと。森の入口にはメンラーイ王の銅像があります。

その後、アナータムミカラート王(1367~1387年)の時代に僧侶が瞑想修行できるようにとトンネルを掘るよう命じ、その後寺院はタイ語でトンネルの意味を持つ「ウモーン」と呼ばれるようになったようです。煉瓦造りのトンネル内に幾つかの仏像が安置されています。

現在も「スアン・プッタタム」という修行センターとして厳しい修行を志す僧侶が目指す寺院となっているとのこと。1949~1966年にかけて寺の住職を務めたパンヤー・ナンタピック高僧による仏教の教えが書かれた看板もあちこちに立てられていています。仏教図書館も併設されています。

一般にもメディテーションプログラムを開催しており、オフィスに案内をしてくれる僧侶の方がいらっしゃいました。3日間のリトリートから予約できるようになっており「いつでも直接来ていいよ」と仰ってくれました。基本的にアーナーパーナーサティの実習を行うとのことです。

こちらの公式ウェブサイトで詳細が確認できるようになっています。基本はタイ語ですが、英語への変換が可能です。Wat Umong Meditation Centerのリンクはこちら

短時間の滞在ではありましたが、自然に囲まれた静かな環境で心身ともに落ち着ける場所でした。またぜひ訪れたい場所です。

基本情報

寺院名:ワット・ウモーン(Wat Umong Mahathera Chan)

タイ国政府観光庁サイト:https://www.thailandtravel.or.jp/wat-umong/

開放時間:05:00~20:00

拝観料:20バーツ

場所:ワット・ウモーンGoogle map

Wat Umong Meditation Center:https://www.watumong.info/web/archives/187

タイトルとURLをコピーしました