インドでの長距離鉄道を利用したバイク輸送

インドでヨーガの博士課程

はじめに

みなさん、こんにちは!老舗ヨーガKdhamでのカンファレンス参加に合わせて、もう一つのミッションがありそれはプネー大学在学中の荷物を現在のヴィシャーカパトナムに移動するというものです。さらにその荷物には電動バイクが含まれます。

プネー在学中に電動バイクを購入していましたが、コロナ禍の緊急帰国にてお別れ、その後約4年間友人宅に預かってもらっていました。今回はそのバイクを西のマハーラーシュトラ州から東のヴィシャーカパトナムの1462kmの距離を運びます。

留学生バイク事情

インドでは日常生活はもちろん、キャンパスだけでも広大なため移動にはバイクは必須アイテムとなります。特に今の女子寮はキャンパスから約5kmの距離にあり、移動手段はバイク、リキシャーもしくは徒歩となります。節約のため徒歩通学の学生もいますが、毎日往復10kmは結構大変です。私は通学にはUberバイクを活用していましたが、ドライバー確保は2分のこともあれば、15分以上かかることもあります。

ヴィシャーカパトナムでは新品電動バイク、中古及び新品ガソリンバイクの購入も検討していました。電動バイクについて調べてみると、インドの電動バイク市場には多くのメーカーがあり、ヴシャーカパトナムでもChetak、TVS、Tunwal、HERO(Hero electric とは異なります)、Quantum、Okinawaなどがあります。しかしそのほとんどがバッテリー取り外し不可となります。ちなみに上記であればHEROとQuantumは取り外し可能のモデルがありました。私の場合、大学寮なので部屋で充電ができるバッテリー取り外しが可能なものが条件となります。有名メーカーのHEROが出している電動バイクは見た目もカッコよく、バッテリーも取り外せるのですがコストが予算を大幅にオーバー。ちなみにまもなくHondaから、Honda Activa-Eが発売されるとのことで注目が集まっています。

Quantum at Vizag
Quantumはバッテリー取り外し可能です
TVSの電動バイク こちらはバッテリー取り外し不可です

私が以前購入したHero Electric は取り外し可のバッテリーバイクを扱っていますが、ヴシャーカパトナムではディーラーが撤退していて、色々な状況で選択が難しいところでした。

中古ガソリンバイクは故障も多いとの噂、また新品ガソリンは留学生には書類関係で難あり、など様々な理由で購入には至らず。大抵の場合、留学生は同じ国の留学生が国へ戻るときに友人同士で売買するというケースが多いようで、アウェイな日本人はバイク購入も難しいところがあります。そんな中プネーに行けるタイミングが来たので、プネーに置いていた電動バイクを長距離電車で輸送するというミッションを試みたというところです。

今回必要なステップは、電動バイクの状況チェック、友人宅からプネーへのバイクショップへの移送、プネーでのバイクショップでのメンテナンスやバッテリー交換、購入時のレシート再発行(5年前)、プネーJTC駅での梱包と輸送レジスター、到着後のヴシャーカパトナム駅から寮への移動です。

ちなみにインド人の友人に確認したところバイクは郵送も出来るようですが、更に多くのプロセスや書類が必要とのこと。今回のように電車移動と共に輸送するのは比較的コストが低く、書類も簡易とのことでした。

さてミッションが始まります。ヴィシャカーパトナムから当時購入したプネーのバイクショップ(Arya Motors)に連絡し、メンテナンスについてや、バッテリー交換、購入時のレシート再発行(5年前)について相談。なんとお店のオーナーが当時のことを覚えてくれていました。基本的な段取り確認し、5年前のレシート再発行も含め協力してくれることになりました。

4年越しのバイクメンテナンスへ

プネーに着いたら、まずバイクを預かって頂いていたラトールさん宅を訪問。電源も入り基本的に動作することが確認できました。リチウムバッテリーですが利用していなかった期間に上部が膨張しているようでした。少しドキドキしながらもとりあえず充電、翌日に約12km先のバイクショップまで運転します。

プネーで日本語学校を経営するラトールさん。現在プネー大学でMA in Japanese Languageを履修されています
バイクショップへ出発!

バイクショップでも無事にメンテナンスへ。カンファレンス期間中にメンテ完了予定となりました。

Arya Motorsへ到着
4年越しのメンテナンスへ
親切なお店のスタッフさん 

受け取り予定日の朝にショップからWhatsAppで「おはよう。車両サービスは納車の準備が整いました」と日本語のメッセージが届きました。インドではかなりレア対応に思います。予定通りのショップへ到着し、動作の確認、新たなバッテリーも入手できました。ちなみにですが電動バイクはバッテリーが高額で、バッテリー交換も30,000Rps(約6万円)かかりました。購入当時の本体とバッテリー価格が49,000ルピー程(約9万8000円)なので、バッテリー価格が約6割を締めます。

さて、残るは購入レシートの再発行です。しかしここでやはりインド的事情発動。レシート再発行を忘れていたようで、過去のデータから検索開始、パソコン動作の遅れと時間がかかりましたがどうにか5年前のレシートを取得することができました。このレシートが輸送に必須となるのでデータを保管してくれていたことに感謝です。

メンテも無事に終了 バッテリーも交換
終始親切に対応してくださったオーナーのSagarさん

バイク輸送手続き

さて長距離鉄道でバイクを輸送する場合、自分の乗車の前日(午前中が推奨されます)に駅のParcel Officeへバイク輸送の手続きに行く必要があります。友人にオフィスで働いているスタッフの連絡先を教えていただき、その方を頼りにオフィスへ向かいました。ここでも滞在先からプネーJCT駅まで13kmの運転です。慣れない道のバイク運転は在学中もほとんどしていなかったので、駅に着くまでも一苦労でしたがどうにか無事に到着です。

約50分かけて到着!
Pune JunctionのParcel Officeへ

必要書類はパスポート、購入時のレシート、電車の乗車チケットのそれぞれのコピーです。電動バイクの場合は、「バッテリー取り外し型である証明書」が必要と言われバイクショップへ連絡。バイクショップからはそんなものはないとのことで、駅員さんとバイクショップの間で15分ほど電話のやり取りがありましたがとうとうそちらの証明書はなしでokということになりました。バッテリー取り外し不可のバイクは輸送の取扱いが違う可能性があると思いますのでご注意下さい。

一通り確認が完了したところで、ここからバイクの梱包が始まります。奥のセクションにてバイク専用の梱包エリアに行きます。一台約350ルピー(約700円)にて梱包してくれます。バックミラーを外し、シート下に収納、手際よく作業が進み15分ほどで完了です。

梱包セクション
手際よく梱包されていきます

次に輸送手続きセクションに移動します。ここで持参書類の確認、支払いがあります。バイクの輸送料金は約2500ルピー(約5,000円)です。自分の2等列車のチケットとほぼ同額の値段となります。ちなみにバイクは自分の乗車する列車と同じ列車での輸送の場合もあれば、前後する場合もあるとのこと。電車の混雑具合によるそうです。自身の到着時に既にバイクが到着していると良いですが運によりますね。

輸送手続きセクションで書類の確認と支払いがあります
お世話になったNaiduさん

午前9時前に滞在先を出発、駅で2-3時間ほどかかりましたがどうにかミッションコンフォートで発送準備が整いました。

梱包、手続きが終わった荷物がずらりとホームに並びます
こんなレシートをもらったら完了です

ちなみに私の電動バイクはNon-Registration Bikeというナンバーがないバイクとなります。これは最大速度が25km/h以下の低速バイクが該当します。通常バイクであるとナンバーにMR(マハーラーシュトラ)やAP(アーンドラプラデーシュ)など州名も記載されるので、州ごとに再登録が必要なようでした。

長距離電車のチケットについて

さてヴシャーカパトナムへの列車乗車日となりました。午前10:15発/翌日10:50着、約24時間の旅となります。電車のチケット購入は、駅窓口かトラベルエージェントが基本とのこと。今回は乗車2週間前くらいに寮近くのトラベルエージェントを利用して予約が出来ました。表示では満席4名待ちでしたが、何故か2等列車のUpper Sideで予約が出来ました。インドでは不思議なことがよく起こります。今回のようにラッキーなこともあれば、もちろんアンラッキーなことも起こります。

前日からSMSに乗車確認や食事予約についてのメッセージが入るようになっていました。食事の料金も表示されています。色々なシステムに驚きです。また駅へは少なくとも1時間前に到着するようにとのメッセージが入っていました。私も初めての利用ということもあり早め1時間半には駅に到着、ホームを確認(30分前くらいから表示あり)、余裕をもって移動しました。

ついでにParcel Officeをチラリと覗いてバイクが発送されているかを確認するとまだ出発していない様子。しかし現地の言葉で「エレクトリック、ヴィシャーカパトナム、6!」と、私の電動バイクは6番線から発送予定だと教えてくれた方がおり、認識してくれていると知ることができました。

さて電車の方は予約した二等席は指定席なのですが、なぜか他の人が私の席を利用しているというインドあるあるが。家族が近くの席なので変わって欲しいとのこと。他の車両に頑張って移動し、どうにか変更後の席に移動。落ち着くことができました。ラオス長距離バスの経験に比べたらなんてことはありません(笑) 

ラオスからベトナムへの長距離バスの旅の記事はこちら

列車は5分前に到着!
それなりに快適です

あとはなぜか到着直後に駅員さんからランチの押売りがありました。ランチ予約はしていない旨を伝えるも全く引き下がってくれません。よく分からないままベジランチ150ルピーを購入。少し辛かったですがその後の販売がなかったので、結果オーライということにしておきたいと思います(笑)

車内は枕、シーツ、ブランケットがあり、狭いなりにも快適です。本来上段客も日中は下段に座り、夜を上段で過ごすようですが、最近は下段の方も日中からカーテンを締め切って個人利用されているようです。上段は窓がないので景色を楽しむことが出来ませんが、とりあえず安全安心の個人空間を確保することができます。また電源プラグもついています。

なぜか押し売りされたベジランチ150Rs 
基本的にカーテンを閉め切って暗い空間です

あとはたまにチャイ、コーヒー、軽食(イドリーやサモサ)などの販売があります。チャイは10ルピーと良心的値段でした。乗車前に購入したスナックを食べたりしながら気まま鉄道旅です。

チャイ10Rs
Haldiramのスナックはどれも美味しいです
夜も明けてあと2時間くらいです

ヴシャーカパトナムに到着

さて、電車に揺られること24時間。とうとうヴィシャーカパトナムに到着です。翌日午前10時50分に予定通り到着です。時間がきっちり過ぎてちょっと拍子抜けしてしまいます。さて、果たしてバイクが無事に到着しているのか、ドキドキしながらヴィシャーカパトナムのParcel Officeへ向かいます。

しかしオフィスで尋ねると残念ながらバイクは未到着。なんと発送もまだとのことでした(笑) その時に教えてもらったのですが、バイクが電車に積まれたタイミングでSMSに通知が来るとのこと。また伝票の追跡ナンバーを利用することで確認できるシステムになっています。ひとまずこの日はリキシャーで寮に無事帰還。バイクの発送連絡を待つことにしました。

SMSでの荷物発送通知

結局プネーから発送されたとの通知が来たのは翌日午前6時頃でした。バイクの発送手続きから3日後に電車に積まれたということになります。そしてバイクは電車の乗り換えがあったようで、「SC駅で一旦降ろされました」「SC駅から積まれました」など丁寧にSMS通知が入ります。最終列車に積み込まれると「12月13日午前7時頃にヴィシャーカパトナム到着予定です」と電車の到着時間に合わせて通知が入り、ついに「到着しました」との連絡が来ました。到着時にはさらに電話も掛かってくるシステムになっています。時間はかかるものの、状況がわかるようになっているので安心して待つことができます。

バイクの受け取り

さて、とうとうバイクを駅にお迎えに行きます。リキシャーで駅へ向かい、Parcel Officeの受付へ行きます。受付では11ルピーの支払いと、証明書の提出がありました。この証明書はパスポートでは不可で、大学の学生証と住所証明が必要でした。これらの確認が終わると受け取り証明の伝票を受け取ります。さて、ここから自分のバイクを探します。そこから梱包を外す作業があるのですが、梱包を外すためのハサミを持った人に「100ルピーだ!」と言われます。周囲の人に尋ねると「これはオフィシャルな支払いではなく、アンオフィシャルな支払いだから、もし同意するなら支払えば良いし、支払わなくても良い」とのこと。結局50ルピーで一件落着となりました。

バッテリーを携えて駅へ向かいます
Parcel Officeの窓口
梱包を脱いだバイク
寮へ一緒に戻ります よくみると右側のハンドルが突き出ています・・・汗 帰宅途中に修理してもらいました。

さてここからはゆっくりと運転しながら寮に向かいます。輸送中に動いてしまったのかハンドルが突き出ていたり、バックミラーが安定しなかったりと途中でバイクショップに立ち寄り簡易修理をしてもらいながらも、無事に寮へ到着することができました。

とうとうプネーからヴィシャーカパトナムへのバイク輸送が完了!!

おわりに

多くのプロセスがありましたが、おかげさまで無事にミッションコンプリートすることができました。経験してみると思いの外システムが整っていることに驚きました。さて重要な交通手段が確保できたので、通学もぐんと楽になりそうです。またここから色々とヴィシャーカパトナムの街を散策しながら様子を紹介できればと思います。本日も読んでいただきありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました