Central Institute of Buddhist Studies(CIBS)に訪問

ラダック編

今日はラダックのレーにあるCentral Institute of Buddhist Studies(CIBS)に訪問させていただきました。1959年に仏教哲学の研究所として設立されていますが、現在はDeemed to be Universityとして見なされています。

13世紀初頭よりラダックでは仏教を学ぶために若い僧侶らがチベットへ行くことを義務付けられていましたが、政治的な問題にて1959年チベットへ学びに行くことができなくなってしまいました。そのためラダックの地において仏教教育を行うことで仏教伝統文化を保全し、継承することを目的として設立されたとのこと。

元々の仏教哲学やチベット文学に加えて、サンクリット語、パーリ語、ヒンディー語、英語が加えられ、さらに現在はチベット仏教哲学、サンスクリット仏教哲学、仏教の歴史と文化、ヒマラヤ仏教芸術と工芸、ソーワリグパ医学と外科学、ボト占星術、ボーティ文学などの分野が幅広くカバーされています。

LNAの尼僧の方も多くの方が仏教哲学科で勉強をされています。またチベット伝統医学であるソーワリグパの病院が併設されているため、今回はこの病院を見学させていただくために訪問させてもらいました。

まずはキャンパス内を探索、ヒマラヤ仏教芸術や工芸の学科のクラスを覗かせていただきました。仏像やタンカ絵画、ヒマラヤの木彫りの学士号も提供されています。仏教芸術や工芸の保全や復興といった目的に加え、ラダックの人々の収入の機会を生み出すことが目的とのこと。学生さんの作品がずらりと並んでいましたが、どれも本当に美しい作品でした。

これらの教室の近くに、ソーワリグパ学科の教室もあります。ソーワリグパは現在Ayush省(インドの伝統補完代替医療)の体系にも含まれており、CIBSではソーワリグパ学科は1989年に開設されています。伝統医学の医師となるための6年間の学士号コースと1年のインターンシップで構成されています。教室には薬草、薬草サンプルの写真、岩石などがずらりと並んでいます。岩石の粉も薬として使用するとのことです。今度タイミングが合えば学生さんとも交流の機会を持たせていただけることになりました。

そしてこちらがキャンパス内併設されているソーワリグパの病院となります。

そしてこちらがキャンパス内併設されているソーワリグパの病院となります。

現在4名のかたがインターンとして働いて見えました。なんとその中の一人のキムさんは韓国人で、6年間のコースを終了し現在はインターン中、今年の10月に全てが終了し韓国へ戻り働く予定とのことでした。CIBSへ入学する前にチベットで1年間チベット語を勉強し、CIBSで留学生は1人という環境で、非常に逞しく全過程を修了しようとしています。

ラダックではこのソーワリグパが広く普及しており、毎日多くのかたが病院に訪れています。この日もずらりと列ができていました。主訴は関節炎/関節痛、片頭痛などが多いとのこと。

診断は丁寧な問診、脈診などが行われます。そしてラダックで採取した薬草を中心にして作られた薬の処方や、様々なトリートメントが行われます。以前はヨーガクラスも行われていたとのことですが、現在は一時的に中断されていましたが、また状況整えば再開予定です。

丸薬になったチベットの薬草の薬が、診察室の横の調剤薬局に並んでいます。ここのお部屋には受付、薬局リーダー、セラピスト、インターンの皆さんが集まっており色々なお話も聞かせてくださいました。

セラピーも様々なものがあり、オイルマッサージ、スチームバス、シローダーラ、入浴などが行われています。個人的にシローダーラはアーユルヴェーダのイメージでしたが、ソーワリグパにも類似した方法が用いられています。その中での違いは、使う薬草が違うとのこと。土地の薬草を用いているとのことです。セラピストの方はアーユルヴェーダも学んでいる方で、Ayushの体系の中でそれぞれの分野が有効的に統合されているというのを感じました。

CIBSでは仏教哲学に加え、現在ヒマラヤ芸術や工芸、そしてこのソーワリグパなどがコースとして提供されているわけですが、全ての学科が仏教に関連しています。ソーワリグパもチベット仏教と切り離すことができません。本日非常にお世話になったLNA尼僧のJigmetさんも、一時は西洋医を目指そうと思ったとのことですが、やはり仏教と関連の深いソーリグパの医師になることにされたとのこと。そこには“心の問題“が多く扱われることも興味関心をもった大きな要因とのことでした。

キャンパスと病院の見学後はちょうどCIBSで開催されていたボーディ語のナショナルセミナーに参加させていただきました。G20のイベントの一環にもなっています。ヒマラヤ地方の古語であるボーディ語は、ここ数年注目されるようになってきたとのこと。ボーディ語を初め、この地域の言語の保全についてもディスカッションが熱く繰り広げられていました。またこの分野における研究発表がされており、小学校での指導でより地方語を強化していこうという方向の話がされていました。言語がラダック語やチベット語でしたので理解はむつかしかったですが、現場での熱気を強く感じることができました。

お昼はセミナー参加者用の食事をいただきました。どれも日本人の口に合う味付けで美味しく頂きました。またこの地方ではあんずが有名なのですが、あんずのシロップ漬けがとてもおいしかったです。

帰りにはLNAの皆さんとパン屋さんに寄ってつまみ食い。オーガニックの材料を使ったシナモンドーナッツ、ふわふわでManpo Jinpo(とっても美味しい)でした。

ベーカリー MET SIBIRI

実は本日朝はダライ・ラマ14世がラダック地方からデリーに移動されるとのことで、皆で空港に行ってお見送り、一瞬でしたがお目にかかることができ光栄でした。

ダライラマ14世が助手席に座ってみえます

また帰宅後は夕方のヨーガクラス、長めのプレイヤーと盛りだくさんの一日でした。
本日もありがとうございました。

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