ベトナムの旧正月テトの様子

ベトナムの街歩き

はじめに

皆さん、チュック・ムン・ナン・ムーイ/あけましておめでとうございます。現在旧正月で盛り上がるベトナム滞在中の竹内です。今日はそんなベトナムの旧正月テトの様子をご紹介できればと思います。

ベトナムのお正月テトとは

ベトナムのお正月は旧暦(太陰暦)の元旦にお祝いします。ベトナムではお正月をテトと呼び、今年2024年のテトは2月10日(土)が元旦となりました。テトは基本的に5連休ですが、日本と比べ祝日が少ないベトナムでは一番長い国民の休日となるようです。

テトの期間中は、市場、スーパー、レストラン、カフェなどの多くがお休みになるとのこと。私の滞在しているエリアも旧正月1月1日以降は一斉にお店が閉まっています。またベトナムの労働法により、この期間の労働者への賃金は20%程度値上げすることも規定されているそうです。ただそれでもベトナムの方は仕事よりも、テトをお祝いすることを優先する方が多いとのこと。

それくらいテトは大切な行事で、実家に帰り家族一緒に時間を過ごすことが慣習です。今回はテトの準備期間からその様子をご紹介できればと思います。

お正月飾り

ベトナムでは赤色、金色、黄色が縁起の良い色だとされています。そのため装飾品店は、赤や黄色で埋め尽くされています。桃や梅の花の飾り、旗、ランタン、ライトなどその種類は多岐に渡り、多くの人で賑わっていました。ただ年末に近づくにつれ値段が日に日に上がるそうで、計画的な購入が吉のようです。

扇や提灯
マーケットの装飾品店は多くの人で賑わいます
玄関などに飾ります
門飾り
提灯作り
縁起のよい黄色の大きなグレープフルーツも綺麗に磨いて用意します

ベトナムの農家の風景をイメージした小屋も設置されます。フォトスポットとして賑わっていました。

ベトナムの農家にある小屋をイメージして装飾されます
農家の花売りの様子です

大掃除と先祖崇拝

日本と同様大晦日までに大掃除を行う慣習があります。境内内も裏の池から大量の水を引き、境内内をホースの水で大掃除していきます。まるでヨーガの浄化法シャンカ・プラクシャーラナを彷彿とさせるような風景です。毎日朝の4時半〜7時頃まで掃除を行なっていますが、それでも取りきれない汚れも徹底的に掃除していきます。清掃範囲も大きいので、男性も集まって皆で協力して清掃作業に取り組みます。徹底的に掃除をした後にはピカピカの境内になりますが、「すべてのことは永遠ではないから、またすぐ汚れるのよ。」と尼僧さんがポツリ。だからこそ毎日の清掃と、定期的な大掃除が大切なのですね。新たな年に向けて周囲の環境も、自分自身の中も、浄化/清掃に努めていこうと思う年末年始となりました。

ホースで境内内全体に水をかけます
水とともに汚れを掻き出します
みんなで協力して楽しく取り組んでいるのが印象的でした

また年末のこの時期は先祖崇拝のため、お墓参りへ行く慣習があるとのこと。

桃/梅の花や、金柑/みかん/グレープフルーツの木を飾る

テトが近づくと、街中の道路沿いに桃や梅、金柑などの鉢植えが並びます。これらを縁起物として自宅に飾ることがベトナム流とのこと。日本でいう門松のような感じでしょうか。

皆さん真剣に鉢植えを選び、それをバイクの荷台に乗せて運んでいました。そのバランス感覚と、運転技術には驚かされてしまいます、笑。また中には大きなグレープフルーツの木も売っていて、それらはトラックにて運んでいました。

沢山の実がついた木は、今年の富、幸運、希望へ向けて幸先の良い縁起となります。これからの一年に向けてそれぞれの願いを込めて装飾を施しします。

梅の花
みかんの木
ベトナムのグレープフルーツの木
座高より高い木をバイクに乗せてお持ち帰りです
新年を迎えるのにふさわしい綺麗な装飾、お供え物が準備されています
本堂の中央には梅の花が欠かせません

新年のあいさつ

さてここからは元旦となります。ベトナム語「あけましておめでとう」は「Chúc mừng năm mới(チュック・ムン・ナン・ムーイ)」といいます。様々な装飾品やお年玉袋などに記載されています。私もこの言葉を覚えてベトナムの方に挨拶したらとても喜んでくれました。

Chúc mừng năm mới
Chúc mừng năm mới
Chúc mừng năm mới

初詣

ベトナムでも初詣の習慣があります。12月30日(旧暦大晦日)から新年の変わり目には、除夜の鐘が鳴り、花火が打ち上がりました。夜中にも多くの人が訪れていました。昨年の元旦0時から徹夜で読経があったようですが、今年は日程が変わり6日に行うとのこと。年により日付の変化もあるようです。

大晦日の境内
菩薩様

戒律を重んじる

ベトナムでは特に年始初日の言動、行動が重要視されており、この時期は特に仏教の五戒を重んじた生活を意識する方も多いとのこと。

ベトナムの市街には多くの飲食店があり、中でも肉食文化が目立ちます。しかし、お正月大晦日、元旦にかけては一般の方含め菜食料理を食べる家庭も多いとのこと。初詣やお寺の清掃へ参加、他の方とのコミュニケーションでも他の方を傷つけたり、悲しませることのないよう一層に注意を払う方も多いそう。

お正月のイベント

滞在中の尼僧院では、近隣の住民が集まり盛大なイベントが執り行われていました。地元の小学生から大人まで太鼓の演奏やダンスを披露します。私も今回小学生の皆さんと一緒にベトナムダンスに参加させていただきました。当日はみんなでベトナムの伝統衣装であるアオザイを着ます。小学生の皆も、男女ともにお化粧をするのがベトナム式、みな綺麗におめかししていました。そしてもちろん世界共通!?の写真大会です、笑。

お年玉

ベトナムではお年玉は自分や親戚の子供だけでなく、近所の子、お世話になっている人、教師、来客者、部下、同僚同士など渡す対象が広くなります。また装飾の木には「ラッキーマネー」と呼ばれる、お米と塩、お金、あみだくじのようなカードが入った封筒が吊るされ、元旦に一人一つずつ自分で取ってもらうことができます。私もベトナムの友人、英語の生徒、初対面の方などからこのお年玉をいただいてしまいました。

ラッキーマニーは木に吊るします
みんなで準備 お米と塩、お金、カードを入れます
カードに書いてあるそれぞれの言葉にみなドキドキ、ワクワク
「今後も瞑想の実習を続けることで苦が取り除かれる」と書いてあると教えてもらいました。新たな一年に向けて有難い言葉です

テトの伝統料理

ベトナムのお正月に欠かせない特別な料理は、先日その作り方をご紹介したバインチュン・ケーキというベトナム版ちまきです。大晦日までに作り、仏陀や菩薩様にお供えしたり、近所へも配りに行きました。12時間以上茹でることで保存がきくので、お正月はゆっくりと過ごしバインチュン・ケーキやその他のお節料理を楽しみます。

バインチュン・ケーキ作りの記事はこちら

その他にも様々な伝統料理がありますが、そのうちの一つに筍のスープもあり菜食の美味しい筍スープをいただきました。ベトナム尼僧院でいただくベトナムの精進料理は本当にバラエティ豊かで美味しいです。ぜひまたこちらもご紹介できればと思います。

バインチュン・ケーキの断面図 ほんのり塩味で美味しいです
ウコンの葉で色付けされた表面 とても綺麗です
左下が椎茸だしの筍スープ 右は大豆ミートの鶏肉風

その他

ベトナムでは新年を迎える前に、コリアンダーの入った薬湯で体を清める風習があるようです。また近年では簡易版としてコリアンダー石鹸も販売されているようです。まだ試したことはないのですが、どんな香りがするのか気になるところでもあります。まだまだご紹介いた以外にも、佐藤きびの長い竿を部屋の角に立てることで厄除けをしたりと様々な慣習があるようです。

おわりに

ベトナムの方は言葉が通じなくとも、とても親切でフレンドリーです。ここではカラフルで明るい雰囲気で満ちたベトナム旧正月の様子が伝わると嬉しく思います。

異なる文化を経験することで、それぞれの文化の多様性を垣間見ることができます。ただその中にはそれぞれの文化を超えた浄化のコンセプト、戒律の遵守、先祖崇拝など共通点、普遍性を見ることができます。これらの普遍性が含まれるヨーガの可能性も更に感じているところです。皆さんとも一緒に世界の風景を愉しみながら、私たち日本人としての文化/生活も振り返れるような情報を共有していければと思います。

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